破壊の神と英雄の子

イスメトは『村で一番の戦士』の息子。
しかし、16歳にして低級魔獣すら倒せない落ちこぼれだった。
『父さんのような英雄になりたい』
そんな夢は、子供時代の戯言として諦めかけていた。

ある日、幼馴染みの少女エストに鼓舞され、
神の力が宿るとされる神器を探すことになる。
しかし、訪れた遺跡で二人は得体の知れない巨大な魔獣に襲われた。

【助けてやろうか？　お前かその娘、どちらかの命と引き換えに】

現れた旧神・セトと契約し、イスメトは戦神の力を得る。
しかし、信仰を失って久しい旧神の力は衰えており、苦肉の策でエストの体に魔獣を封印することになってしまった。

エストを救うためには、セトの信仰を広めて力を取り戻さなければならない。
イスメトはこのオアシスを管理する大神官を頼るのだが――

「セトは世界に混沌と魔獣を解き放った、破壊神の名だ！」

援助を受けるどころか、逆に命を狙われることになるのだった。

真面目でお人好しな落ちこぼれ少年と、
粗暴で誤解されがちな破壊神による、
名誉挽回・汚名返上、古代エジプト風ヒロイックファンタジー。

――信じる心が、神の力となる。

※注意：身体欠損・大量出血などを想起させる描写アリ